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2009年3月27日金曜日

ブログ引っ越しました

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2009年3月22日日曜日

映画「ワルキューレ」

映画「ワルキューレ」を観た。


う~ん、丁寧には作ってあるんだろうけれど、映画としては面白くなかったかな。史実に忠実に、というのは判るけれど、ひねりも何も無いという感じ。ヨーロッパを舞台にしているという事で、例によってトム・クルーズ以外の主要なキャストはヨーロッパ(主に英国)出身の俳優たちで固めてある。みな堅実でそこそこ雰囲気のある演技だとは思うのだが、地味過ぎるしキャラクターの面白みが感じられない。主演のトム・クルーズも随分と地味な演技。でもそもそもトム・クルーズから「けれん味」を取ったら、何が面白いのだろうか?

題材としている「ワルキューレ計画」は、「7月20日事件」という名で広く知られたヒトラー暗殺及びクーデター未遂事件だったらしい。実は、僕自身何年も前に中公新書刊の「ヒトラー暗殺計画(小林正文著)」という7月20日事件を中心に取り上げた本を買っていた。もっとも殆ど読まずに居て、今回の映画をきっかけに初めてまともに読んだ。映画の記憶が鮮明に残っている事もあって、一気に読み通した。

本では、冒頭に事件当日の様子を時間を追って記述しているが、内容は映画と殆ど変わらない。家族とのエピソードこそ無いが、暗殺計画に関わるエピソードは殆ど細大漏らさずこの本にも出て来る。おそらく小林氏も映画も、共に定本とした同じ著作があるのだろうと思う。因みに小林氏の本の初版は1984年。事件自体、ドイツあるいはヨーロッパでは、第2次世界大戦終了後のごく早い時期に既に注目され、ナチ時代の「ドイツ人の良心を示す行動」として定番化されたらしい。

だとすれば、今更ながらに「史実に忠実に映画を作る」事にどういう意味があるか? 史実を題材にするにしても、映画的に面白くする方法はあると信じたいが。僕はトム・クルーズの「けれん味」はそんなに嫌いじゃない。あるいは、脇を固めるキャラクターにもう少し面白さがあっても良いと思う。極端な事を言えば「忠臣蔵」にいろいろいじり様がある様に。

「忠臣蔵」に例えるのなら、ナチあるいはヒトラーの話はエンタテイメントには余りにシリアス過ぎるのか? あるいは所詮失敗したクーデターの話には、カタルシスが欠けるのか? 

最近のハリウッド映画の例に漏れず、きっと美術/衣装の時代考証は正確を極めているのだろう。映像の重厚感はなかなかのモノではないか。しかもドイツ軍ものとあれば、マニアには堪らない映像なのかもね。

2009年3月18日水曜日

Tony Bennett: Music never ends

夕べは夜の11時から短い電話会議が有って、その後にまた短いメールを書いたら、もう12時を回っていた。大した仕事じゃないから、と多寡を括っていたが、やはり直ぐには寝付けない。気まぐれにテレビのチャネルをいじっていたら、BSでトニー・ベネットの特集番組をやっていた。 


1926年生れというから、今年83歳。番組は2007年の製作らしいが、それでも80歳を越えたトニーは若々しい。クリント・イーストウッドによるカジュアルなインタビューをメインにして、他の仲間や関係者の話、昔からの映像を織り交ぜながらトニー・ベネットの生い立ちを綴るという構成。歌う時のトニー・ベネットは堂々として自信に溢れているけれど、喋る時の彼はどちらかと言えばシャイにさえ感じる。 

僕は「アメリカン・スタンダードソング」が好きだ。だから、クロスビー、アステア、シナトラ、エラ・フィッツジェラルドなんて、僕にはアイドルだ。逆に、そういう人々がまず思い浮かぶので、今でも現役のトニー・ベネット辺りはむしろ「新しい人」というイメージだった。けれど、Because of You とか Blue Velvet はトニー・ベネットの曲なんだから、紛れもなく煌く星々のひとつに違いない。それにあの I left my heart in San Francisco がある。(やはり合計8年余りも近くに住んでいたので、懐かしいですね。)

ことのついでに、トニー・ベネットの経歴をWikipedia(米国版)で当ってみた。1949年にデビューしてからすぐにヒット曲が出て、1962年の --- San Francisco のヒットでピークを迎えるけれど、ポピュラー歌手として脂の乗る40~50歳代がちょうど60~70年代のロック全盛にぶつかり急速に落ち目になる。その間は浪費に溺れて破産したり、コカイン中毒にさえなって地獄を見る。それが60歳台も後半を迎える80年代半ばからカムバックして来て80歳代の今に至るも第一線で歌い続けているという。今の歌を聴いても、成熟は感じるけれど、老いは感じさせない。これは本当にすごいことだと思う。

after all these years という言い回しがある。「いろいろあったけれど」とでも訳せるのかな。嫌なことも苦労したことも、最後にはサラッと言えてしまうといいね。

夕べは番組の途中からだったから、再放送はしっかり頭から見よう。

Jazz File #35 (WOWOW)
Tony Bennett: Music never ends
4/7(火)午前5:00

2009年3月17日火曜日

Cafe Brauner am Akihabara

今日、仕事で秋葉原に行った折りのこと。少し時間が有ったので時間を潰そうと駅の直ぐ側にあった「スターバックス」に入ろうとしたら、同じビルの2階の「Cafe Brauner - Wien-」という看板が目に入って、思わず飛び込んでしまった。

「ブラウナー」 ウィーンのカフェでは定番のミルクを入れたコーヒーですね。本場では、入れるミルクの量(つまりコーヒー色の濃さの違い)によって呼び名が変わるとも聞くけれど、ここの場合は普通のブレンドコーヒーに例の小さいカップに入ったクリームが付いて来ただけ。コーヒーカップはちゃんと小さな銀盆(といってもステンレス製だけど)に載せられてたけれど、例の「スプーンを載せた水のグラス」は無し。水は普通の日本の喫茶店と同じで最初に持って来られる。

メニューを見るとブラウナーの他に、メランジェ、アインシュペンナーといったものから、モーツァルト、マリア・テレジアといったリキュール入りのものまでなかなかのバラエティ。食事もカレーやハヤシライスに混じってグラーシュもあり、ザッハ・トルテもある。なかなか頑張ってますねぇ。もっとも昼食後に飛び込んだので、食べ物はパスしたけれど。それにちょっと気になるのは、「カフェ・ブラウナー」(ただのブレンド・コーヒーだけど)が余りおいしくなかったこと。大丈夫かな?

店はGiraud(ジロー、個人的にはちょっと懐かしい)の系列らしい。確か「カフェ・モーツァルト」もジロー系列じゃなかったかな? あそこにも「ザッハ・トルテ」があった。

内装の雰囲気は名前に似て、茶系で纏められて椅子やテーブル(角)はそこそこ高級感はあるものの、どこかありきたりの感じがして今ひとつ腑に落ちない。きっとトーネットの曲げ木椅子に丸テーブル辺りで纏めて貰えるともう少し雰囲気が出るのだろうけれど

ということで、今ひとつ中途半端な感じがしないでもないが、とりあえず今度はグラーシュ辺りも試してみよう。

カフェ ブラウナー
住所: 東京都千代田区神田佐久間町1-6-5 アキバトリム2F
電話番号: 03-5209-2530
営業時間: 7:00~22:30

2009年3月15日日曜日

GWはウィーン、ブダペストへ!

「勤続25周年(!)」の褒賞休暇ということで、この3月までに10日間の有給休暇を余分に貰える事になっていた。グズグズしてまだ消化出来ていないのだけれど、どう考えても3月末までには取れそうにないので、取り敢えずGWの後半に少し休みを増やしてヨーロッパに行く事にした。厳密に言えば褒賞休暇の消化にはならないのだけれど、まぁ気分の問題としてね。
 
全行程11泊12日。ウィーンを中心に、途中2泊3日でブダペストにも足を伸ばそうと思っている。昨日からネットで宿を取って、今日はオペラやコンサートのチケット取りを始めた。ウィーンの国立歌劇場は公演の1ヶ月前からでないと取れないようだけど、それ以外は押さえた。旅程はこんな感じ。

1日目
Narita - London - Vienna
2日目
Vienna
Fidelio (Beethoven) - Wiener Staatsoper
3日目
Vienna
Mitridate, Re di Ponto (Mozart) - Theater an der Wien
4日目
Vienna
Staatskapelle Berlin - Musikverein
5日目
Vienna - Budapest
La Traviata (Verdi) - Hungarian State Opera House
6日目
Budapest
Turandot (Puccini) - Hungarian State Opera House
7日目
Budapest - Vienna
Die Walkure (Wagner) - Wiener Staatsoper
8日目
Vienna
Wiener Symphoniker - Musikverein
9日目
Vienna
Siegfried (Wagner) - Wiener Staatsoper
10日目
Vienna
Wiener Philharmoniker - Wiener Konzerthaus
Tosca (Puccini) - Wiener Staatsoper
11-12日目
Vienna - London - Narita

実は、こんなに長いひとり旅は初めてだし、これほどオペラ/コンサート三昧というのも初めて。というより、余り動き回らずにオペラ/コンサートを優先しようという目論見なのだけれど。今回ブダペストのオペラハウスと、ウィーンもコンツェルトハウスとテアター・アン・デア・ウィーンは初めて。ウィーン・フィルはムジークフェラインでは聴けないけれど、コンツェルトハウスのコンサートはアーノンクール指揮でウィーン音楽週間のオープニングのオールハイドン・プログラム。ムジークフェラインでも2演目。ベルリン・シュターツカペレはバレンボイムでマーラーの9番。ウィーン・シンフォニカーはプレートル指揮のラベル-ドビュッシー-ベートーベン・プロ。う~ん、楽しみですね。昼間の観光疲れで居眠りしない様に、午後はお昼寝でもしないとね。

2009年3月8日日曜日

映画「チェンジリング」を観た。クリント・イーストウッドの監督作で、アンジェリナ・ジョリーの主演。

材料はダークなものが多いけれど(子供を狙った猟奇的殺人やその犯人の絞首刑シーンなど)、作り方は随分ストレートに思えた。物語の前半で子供をさらわれた主人公が、警察から謂われない中傷や虐待さえ受け、観る者に義憤を生じさせ、後半でそれを解消させて行くという筋立てはそんなにひねりもないシンプルでストレートなものだけれど、飽きはしない。

ストレートと言えば、あのジョン・マルコヴィッチが警察の腐敗を糾弾する活動家(宗教家)に扮していたが、これも彼に似ずストレートな役回り。本当は影で何かエキセントリックな事をしでかしているのではないかと、最後まで疑った。なにしろ「ザ・シークレットサービス」でイーストウッド扮する老エージェントに屈折したシンパシーを送る大統領暗殺(未遂)犯を演じたマルコヴィッチだから。(そう言えば、ゲーリー・オールドマンも「バットマン」ではすっかり善い人になってしまったし。)

それでもやはり、これはアンジェリナ・ジョリーの映画だ。これまではセクシーさやワイルドさ(多くはその両方)を売りにする役柄が多かったと思うが、この映画ではそういったものに寄らない、見事なまでの「演技派女優」の風格。彼女の目と唇(紛れもないジョン・ボイトの血!)で全ての感情を表現する。彼女はこの演技でオスカーにノミネートされた訳だけれど、結局受賞を逃した。正直あれで取れなかったら、この先どういう作品で取るのかという感じだが。やっぱり物語が、余りにストレートに過ぎたか?


加えて特筆すべきは、プロダクション・セットやコスチューム。「金に飽かせて」とハリウッド映画を揶揄する声は多いが、この映画の美術や衣装は尊敬に値する。路面電車や電話交換局(主人公の職場)でローラースケートを使わせたのは、1920~30年代の雰囲気を良く伝えている様で面白い。