2007年11月28日水曜日

The Christmas Song

好きなクリスマスソングの話。

洋の東西を問わず、ポピュラー歌手は少し有名になるとこぞってクリスマスソングを作るので、新しいところを追ってゆくときりがない。だから、スタンダードなところで The Christmas Song


これ、歌の名前です。 a じゃなくて、the ですからね、定冠詞。「これぞ!」と言いたいんだろうか? Chestnuts roasting on an open fire... というフレーズで始まり、クリスマスの風物詩を並べ立てて、最後に「言い古されたせりふだけど、あなたにメリー・クリスマス」と、余りに定番的な作り。この辺りは、もういくつ寝ると---の「お正月」のコンセプトに似ていなくも無い。一般にはナット・キング・コールが歌って大ヒットした歌として知られている。豪華なストリングスをバックに堂々と、本当に The Song という感じで歌い上げてますね。

でも僕が一番好きなのは、ビング・クロスビーの録音。それも、前振りの付いたバージョン。多分ラジオのクリスマスショーからの抜粋なんだと思 う。ビング・クロスビーの歌うクリスマス・ソングなんて、何もひねりが無くて申し訳無いくらいなんだけど。でも、あのソフトに響く Crooning Voice は、やっぱりホッとする。

White Christmas は勿論クロスビーがオリジナルだけど、Have Yourself a Merry Little Christmas (これはジュディ・ガーランドが映画「若草の頃」の中で歌った)も、The Christmas Song も-要は、その3曲が僕にとっての「3大クリスマスソング」なんだけど-結局、みんなクロスビーのバージョンが一番好きなのだ。フリッツ・クライス ラーの自作自演の小品がそうである様に、ビング・クロスビーのクリスマスソングは心に沁みて来る。

さて、クロスビー自身がしゃべる曲の前振りはこんな具合
近頃、ここハリウッドでは若者たちの作った曲が流行ってますが、これから歌うのはメル・トーメとボブ・ウェルズが作った今夜にふさわしい曲で す。いわば音楽のクリスマス・カードか、スケッチといったところ。それでは The Christmas Song というこの曲をお送りしましょう。
一見何も変わったところは無いけれど、今や大スタンダードなこの曲を新しい曲として紹介するのが歴史を感じさせてくれて面白い。

クロスビーは、録音技術の実用化に大きな影響を与えたそうだ。そもそも「クルーニング唱法」として知られる、あまり声を張らないソフトな響きの バリトンは、マイクロフォンの発展で可能になったものだし、ラジオショーのホストとして絶頂を極めていた頃には、自分のプロダクションで番組制作する立場 で、テープ録音をいち早く取り入れて番組編集を可能にしたという。

まぁそんなトリビアな話はさておいても、クロスビーのソフトで親しみある声は「音楽のクリスマスカード、あるいはスケッチ」というこの曲に良く合っていると思う。そんなに仰々しくなくてね。

ところで僕の「3大クリスマスソング」として挙げた曲は、White Christmas が1941年、と Have Yourself --- と The Christmas Song が1944年に初めて世に出たという。第2次世界大戦の最中ですね。The Christmas Song や White Christmas は、いかにもクリスマスらしい情景を思い描く歌だし、Have Yourself a Merry Little Christmas は、どちらかと言えば「元気を出してね」というニュアンスがあって、ちょっと切ない感じさえする。やっぱり時代が、平和な穏やかなクリスマスを求めていた のかな?

日本時間の今日、ニューヨーク名物のロックフェラー・センターのクリスマスツリーが点灯したんだってね。意外に遅い感じもするけど、ほらやっぱり「Thanksgivingの後にChristmas」でしょ。 Merry Christmas to all...

The Christmas Song
(Torme-Wells)

Chestnuts roasting on an open fire
Jack Frost nipping at your nose
Yuletide carols being sung by a choir
And folks dressed up like eskimos

Everybody knows a turkey and some mistletoe
Help to make the season bright
Tiny tots with their eyes all aglow
Will find it hard to sleep tonight

They know that Santa's on his way
He's loaded lots of toys
And goodies on his sleigh
And every mother's child is gonna spy
To see if reindeer really know how to fly

And so, I'm offering this simple phrase
To kids from one to ninety-two
Although its been said
Many times, many ways
Merry Christmas! Merry Christmas! Merry Christmas to.. You!

2007年11月25日日曜日

「Thanksgivingが来てから、Christmas」だろ?

前回の続き。

で、ヘトヘトになってサンノゼ空港にたどり着いてレンタカーを借りた。レンタカーをスタートさせる時のルーティンは、ミラーの角度をチェックしてラジオ局をセットする。シリコンヴァレーに来た時のお決まりは、クラシック専門局のKDFC(102.1MHz)と、ポピュラー専門局のKOIT(96.5MHz)。特に、KOITは肩が凝らなくていい。で、さっそくダイヤルを合わせるとクリスマスソングが流れている。これがちょっと意外というか心外だった...

KOITは、通常のステーション・コールなら「ケー・オー・アイ・ティー」と呼ばれる訳だが、皆ニックネームで「コイト」と呼ぶ。サンフランシスコ港のそばに立つ観光名所「コイトタワー」(綴りはCoit Tower)に掛けているらしい。キャッチフレーズは "Lite Rock, Less Talk"。LiteとLessで韻を踏んでいるのだろうけど、別にロック系の曲が多い訳じゃなく、いわゆるヘビーなロックとかジャズ以外のポピュラー音楽全般が掛かっている感じ。それも最新のヒット曲は掛からずに、精々新しいのは2~3年前から古くは70's~60'sまで平気で掛かっている。つまり「どこかで聞いた曲」がのべつまくなし流れている訳。

このKOITが、Holiday Seasonになるといわゆるクリスマスソングばかりを流す様になる。ステーション・コールにも "The Bay Area's official Christmas Station" なんていう大そうなフレーズが加わる。オフィシャルかどうかは知らないが、確かに1日中クリスマスソングしか流さない。僕はシリコンヴァレー、あるいはサンフランシスコ・ベイエリアと呼ばれる地域には合計8年くらい済んだけど、僕にとってクリスマスシーズンの到来を告げてくれるのは、何よりこのラジオ局の衣替えだった。

この「衣替え」は、従来キッチリとThanksgiving Day(10月第4木曜日)の翌日の金曜日だった。これは小売業界のHoliday Seasonのセール開始日と同じ。この期日は、他人を出し抜くのに余念が無いアメリカでも未だに相当キッチリ守られていると思う。(その代わり「金曜日朝5時開店」なんていう凄まじい事になるのだが。)

ところが、今年のKOITのChristmas Stationへの衣替えは、先週の土曜日僕がダラスからサンノゼに着いたら終わっていたのだ。Thanksgiving Dayの前の週なのに。事情は全く知らない。同じ趣向の局が増えたので早めたりしたのかな? でもね、これはちょっとフライングだと思う。個人的には、ひどく興醒め。やっぱりこういうお決まりの「風物詩」の順番って、大事にして貰いたいいんですよね、本当に。

KOIT、贔屓にしていただけにとても残念な出来事でした。ごく個人的なことだけど...

2007年11月21日水曜日

Holiday Season!

先週は後半からアメリカへ出張。

僕のアメリカ出張と言えば、専らシリコンヴァレーばかりだけど、今回は東海岸のワシントンDCまで足を伸ばす。サンノゼからダラス経由で、乗継ぎの待ち時間を入れれば片道8時間近くの移動は、久し振りだとなかなか堪えた。

それに先週末からは、1年中で一番混み合う旅行シーズンが始まっている。というのも、今週の木曜日は11月の第4木曜日ということでThanksgiving Dayのお休み。殆どの州で金曜日も休みとなるので、アメリカでは数少ない4連休。それを含めて、この週を全部休暇に充てる人も多い。同時にクリスマス〜新年まで続くHoliday Seasonのスタートなのだけれど、家族親戚が寄り集まる機会はクリスマスなどよりも、Thanksgiving Day休暇の週の方が多いらしい。つまり日本の盆暮れの「民族大移動」に相当する混雑は、アメリカではThanksgivingの週前後となるという訳。

おそらく必ず4連休となるし(クリスマスや元旦は必ず週末に掛けるという訳にはいかない)、多様な宗教背景を持つアメリカ人にとってはクリスマスほど露骨にキリスト教と結び付けなくて済むからか?(といっても、Thanksgivingも最初にアメリカに入植した清教徒たちが神の恵みに感謝したところから発していると言うけれど...)

ということで、サンノゼ―ワシントンを往復したフライトは完璧に満席。とくにダラスからサンノゼへの便には参った。3列並びの真ん中の席、というだけでも憂鬱だったのに、脇を固める人たちにはホトホト参った。窓際の席にとてもふくよかな娘(決して他人様の事を言える私では無いけれど)。反対の通路側にはその母親。

娘は席に陣取るなり、私の席との間の肘掛けを当然の様に跳ね上げる。窮屈さを少しでも和らげたいということか?お陰で、彼女の太い腕が私の体を押さえつける。母親の方は、やおら財布から1ドル札を取り出して数え始めて「何杯飲めるかな?」と呟いている。ドリンクサービスの時に酒を飲むらしい。

よくよく二人が話すのを聞いていると、娘の後ろの席に座ったのは、父親らしい。そこで思わず母親に「みんな一緒に座りますか?」と聞いたら「彼女と父親は窓際が好きだし、私は通路側がいいのよ」と取り合わない。

で、案の定酒盛りは始まる。母親だけかと思いきや、娘も一緒に飲み始める。僕の目の前でカップや酒ビンが行き交う。(まあ、ミニチェアボトルだけど)こっちは寝た振りをしていると、そのうち母親が持ち込んだポテトチップスの袋を私の席のトレイにおいて、二人でつまみ始めた。私の存在は、完全に無視されている。

酒盛りが終われば、当然の様にいい気持ちで寝入る。そうなると隣りの娘は完全にリラックスモードで、その分こちらの領分が侵され、否応無く母親側の方へ押し出されがちなのだが、何と母親は押し返して来るではないか!?

という訳で、サンノゼまで地獄の様な3時間半のフライトでした。