2008年6月15日日曜日

志ん朝が来る!

朝5時過ぎに目が覚めて、寝ぼけながらTVのチャネルを回していたら、山本(文さん)文郎と京須偕充が喋っている。TBSの「落語研究会」の演目後のトークのセットだ。昔は文さんと榎本滋民がやっていた。よくよく聞いていたら、志ん朝の「火焔太鼓」をやったと言うではないか。「え~っ、そんなの聞いてない」と、思わず声を上げる。

「聞いてない話」はまだあった。ちょっと調べてみたら、この3月にそのTBS「落語研究会」の録画を集めたDVDが出ているじゃないか。これを知らなかったなんて、本当に迂闊。どうも「落語研究会」で撮り収めたものは全部リリースするらしい。今回はその「上巻」で、これだけで22演目入っている。下巻は秋口のリリースになるとのこと。以下が「上巻」に収められている演目。

〔Disc 1〕
「文七元結」1997年11月17日
「火焔太鼓」1998年7月24日
〔Disc 2〕
「五人廻し」1996年9月27日
「百年目」1994年3月29日
〔Disc 3〕
「二番煎じ」1991年1月23日
「ぬけ雀」1992年10月27日
「四段目」1990年9月28日
〔Disc 4〕
「大工調べ」1989年4月25日
「宿屋の富」1986年1月22日
「浜野矩随」1985年10月28日
〔Disc 5〕
「愛宕山」1987年3月30日
「酢豆腐」1985年6月21日
「三方一両損」1988年1月20日
〔Disc 6〕
「寝床」1984年10月22日
「鰻の幇間」1984年6月25日
「夢金」1986年12月26日
〔Disc 7〕
「大山詣り」1984年8月14日
「子別れ・下」1982年10月28日
「品川心中」1980年9月29日
〔Disc 8〕
「反魂香」1979年8月31日
「口入屋」1976年8月16日
「井戸の茶碗」1975年11月25日

CDの方は、大方が70年代後半から80年代初めの頃の収録だから、DVDの多くは80年代半ば以降のより脂の乗った40代半ば以降の収録ということになる。CDには無い演目もある。

結局、生で観られなかった志ん朝だから、僕の志ん朝の印象の多くはこれらTBSが放送した(昔は「落語特選会」という番組名じゃなかったか?)の演目に拠っている。だから、それが全部蘇るというのは本当に嬉しい限り。

勿論、すぐに購入に走ってしまったのは言うまでもない。TBSのリリースで、当然TBSのショップとかウェブサイトでしか買えないものと思って、そうした。定価で。しかも納品は2週間も先。ところが、後から検索したらAmazon辺りでも売っている。すぐに入手できるし、かなり安かったりね。(2割引き位) 値段に関しては、単に悔しいというより「こんな貴重な記録をそんなにハナから安売りしていいのか」という憤りにも似た気持ち。

あぁ、志ん朝の来るのが待ち遠しい。

2008年6月4日水曜日

梅雨寒

今日は朝からずっと15℃くらいで、涼しいと言うより寒かった。もう梅雨に入っているから「梅雨寒」と言っていいのだろう。

梅雨寒をモチーフにした池波正太郎の短編小説があった。後年、あの藤枝梅安とコンビを組む彦次郎が主人公となる「梅雨の湯豆腐」。確かこの作品で彦次郎は命を落とした筈だが、後から始まった「仕掛人 藤枝梅安」のシリーズに登場して、結局このシリーズは作者が逝って梅安も彦次郎も死なずに終わってしまった訳だ。とすると、無理矢理辻褄を合わせようと思えば、「湯豆腐」は「藤枝梅安」の後日譚となるのか? まぁそんな事はどうでも良いが。

池波正太郎は浅草聖天町に生まれた人だが、戦後所帯を持ってからは品川荏原に家を構えたという。荏原2丁目というから、東急池上線の戸越銀座と東急目黒線の武蔵小山に挟まれた辺りらしい。僕もまた両線に挟まれて、荏原からもさほど遠くない洗足池の近くに住んでいる。

20歳の頃から池波正太郎は好きで読んでいたけれど、今の場所に住もうと決めた時には、池波さんが荏原に住んでいたという事は意識していなかった。単純に勤め先(大森)に近いという理由だった。そもそもが埼玉の田舎に30歳まで住んで、その頃は会社も御茶ノ水にあったから、大学時代を含めても23区の土地勘は北半分が精々というところ。山手線の外、しかもいわゆる城南地区なんて皆目判らなかった。それがねぇ、今は...

そうそう梅雨寒の話。梅雨に入る前、5月も結構寒暖の差が激しかったから体調を崩している人も多いらしい。僕も昔はそういう温度ショックに弱かったらしくて、よく熱を出してた。最近は感覚が鈍くなってきたのか、そういう事もあまり無くなって来たけど、気をつけないとね。

2008年6月1日日曜日

ロストロポーヴィチの指

ロストロポーヴィチの独奏で、ドボルジャークのチェロ協奏曲のDVDを観た。

オケはジュリーニ指揮によるロンドンフィル。 1977年の録画だ。 ロストロポーヴィチのドボルジャークの協奏曲はこれを含めて4枚持っていることになる。ターリヒ/チェコフィル、カラヤン/ベルリンフィル、小澤/ボストン響とこのジュリーニ/ロンドンフィル。チェロの独奏で言えば、多分ターリヒ/チェコフィル盤が一番好きだ。1952年の録音だから25歳の時の録音になるが、若者の勢いというより、伸びやかな演奏が心地良い。

それでも、DVDはやはり映像が観られるのが面白い。ジュリーニの指揮振りは生で見たことはないが、映像で見る限りは思いの外生硬い感じがする。収穫は、ロストロポーヴィチの指。長くてきれいな指をしている。バイオリニストのパールマンやオイストラフの映像を見ると、よくもあんな太い指でキチンと音程を取って早く回せるものだと関心するが、それに比べたらロストロポーヴィチの指は長くてしなやかで、指板の上で滑る、あるいはヴィブラートをかける動きが美しい。チェリストであると共に優れたピアニストでもある聞けば、思わずうなづける。