2007年12月22日土曜日

豆のスープ

昨日ホテルの近くのカフェでスープを食べた。

近頃流行りのベーカリーが併設された「ベーカリーカフェ」という趣向。食べたのは Chick Pea Soup というスープ。Chick Pea は日本語では「ヒヨコマメ」というのだそうだ。色と形がヒヨコの頭に似ているところからそういう名前になったという。インド料理にも盛んに使われるそうで 「ダール」というこの豆を使ったカレーは、僕も何度か食べた事がある。ヴェジタリアンには貴重なタンパク源だという。

ダールは丸のままの豆を使うが、昨日のスープは挽き割りというか、粗くみじん切りにして使っている。他でも時々 Split Pea Soup というのを見かけるけれど、あちらは大体緑色の豆を使っているが(グリーンピースかな?)、こちらはちょっと黄土色がかった色合い。

この店は、調べてみたらチェーン店らしいけど「当店の商品はみ な一からここで作っています」と自慢するだけあって、カウンターには丁寧にレシピも出ていた。かいつまんで訳すとこんな感じ。

  • みじん切りのベーコンとハーブを炒めて、香ばしさと香りを引き出す。
  • そこにヒヨコマメを加えて、更にしばらく炒めたらチキンスープを加える。
  • 豆に良く火が通り、滑らかになってきたら出来上がり。

なんだかひどく単純なレシピでしょ。見た目はもさっとした感じで決しておいしそうには見えないが、ハーブのせいか(どういうハーブか判らないが)結構深い 味がするし、ベーコンの塩気と香ばしさが効いてなかなかいける。ベーカリーということで付け合わせの柔らかいパンもおいしいし、スモールサイズのスープで ランチには丁度いい。それにWiFiもタダで使えるのも有難い。(スターバックスなんか、今でも iTunes 以外は有料の筈だ。)

アメリカには余りおいしいものが無いというけれど、時々こんな風に素朴においしいものもある。こういうのを「小確幸」というんですね、きっと。

Specialty's Bakery and Cafe
3399 Bowers Avenue
Santa Clara, CA 95054
www.specialtys.com

2007年12月20日木曜日

北カリフォルニアに雨が降る

今週もカリフォルニアに来た。

夕べは朝方まで雨が降っていた。意外に思われるかも知れないが、冬のカリフォルニアは結構雨が降る。4月から10月くらいは殆ど雨が降らず晴天続きだが、冬の間は断続的にかなりの量の雨が降る。始終枯れ草に覆われている様に見える山や丘も、1月から3月頃は目を吹き出した草で青々とする。

カリフォルニアでも、冬にそぼ降る雨はやはり物悲しく感じる。良く映画の舞台になるサンフラシスコ辺りも、余り雨と結ぶ付いたイメージは無いかも知れ ない。何か「冬のカリフォルニアの雨」を映し出した映画が無かったかと考えていたら、ひとつ思い出した。ダイアン・キートンの主演した「Shoot the Moon」という映画で82年の作品。昔しは結構ダイアン・キートンのファンでしたからね。この映画もちゃんと映画館で見た記憶がある。サンフランシスコ近郊を舞台にして、筋はこんな話。内容を反映する様に「カリフォルニアの青い空」のイメージには程 遠い、雨の良く降る冬のカリフォルニアのシーンが多かった印象がある。共演はアルバート・フィニー。実はこちらに来る飛行機の機内で見た「Bourne Ultimatum」の中で、アルバート・フィニーが主人公のジェイソン・ボーンを洗脳した老医師役で出ていた。まだ生きていたんですね。何し ろ「オリエント急行殺人事件」(74年作品)でポアロを演じて、イングリッド・バーグマンやローレン・バコールと張り合っていた人だからね。(バコールは まだ生きてるか。)

そういえば、昔し流行った「カリフォルニアの青い空」という歌。まともに歌詞なんて覚えてなかったけど、ちょっと調べたら本当は雨も出て来るし、かなり切ない歌だったんだ。

シリコンヴァレーは今週も寒い。夕べはタイ料理のレストランで夕食だったけれど、隣りのテーブルではタイ人らしき女性の客がオーバーコートを着込んだまま食事をしていた。さすがにそこまでの人は珍しいが、確かに薄ら寒い夜だった。そんな夜更けに降った雨だ。冷たかったろうね。

2007年12月14日金曜日

マックは快適!

うちの会社(というよりうちの事業グループだけかも)は、セキュリティ重視ということで「シンクライアント(Thin Client)」のシステムになっている。クライアントPCにはHDDは付いていないし、その他の外部メモリも使えない。オフィスのクライアントPC自体 がノートブックなので、出張の時にも基本的にはそれを使う事になる。ハードディスクが無いのでその分大分軽いのは良いのだが、外部のインターネット接続で は遅くて使い辛いことが良くある。何しろ文字変換からリモートのPCで行っているので、キーボードがブラインドタッチ出来ない僕でさえ、思考が止まってし まう。止まってしまうだけなら良いが、イライラする事この上ない。

それにウェブ・ブラウジングもいろいろスクリーニングされているので、ネットサーフィンもままならない。グルメ、スポーツ関係は必ず「業務上関係ある か?」とイエローカード(警告スクリーン)が入るし、エンタメ系は始めからレッドカード。(それ以上は怖くて試してません。「記録が残される」と脅かされ るし。)ブログも見るだけなら結構見られるけど、書き込みは出来ない。会社でならまだしも、出張先でプライベートの時間に少しは息抜きしようと思っても、 基本的に使い物にならない。

ということで、少し前から自前のマックブックを会社のノートブックと一緒に持ち歩いている。酔狂と言えば酔狂だけど、まぁ移動の少ない出張なら何とか。と いう訳で、今も空港の待ち時間にメールを始めたらイライラして来て、マックを開けてこれを書いている。メモリは2GB載せてるし、ブートアップも早くて快 適!

でもマックブックは重いね。姿形はスリム&モノリシックで良いのだが、重さが2.27Kgもある。だから 最近のハードディスク無しの薄型軽量モデルが来年早々出るというウワサには、相当そそられますね。最近までハードディスク会社にお世話になってい た身としては、ちょっと後ろめたいけれど、根が結構ガジェット好きなもので...

2007年12月13日木曜日

フィレンツェ名物

まだアメリカ出張中。今週、当地は随分と寒い。シリコンヴァレー周辺も朝方は3〜4℃。昼は15℃くらいになるけど、東京より寒いですね。サンフランシスコ湾の北側にあるナパ/ソノマ方面は0℃近くまで下がって、霜が下りているらしい。

それとは全く関係ないけど、先週イタリアンを食べに行く機会があった。品川駅の港南口のビル群の中にある「アロマクラシコ」という店。行った事は無いけど 聞いた事はある有名な店の分家筋らしい。オフィス・コンプレックスの中にあるせいか、そんなに雰囲気がある訳では無いけれど、逆に過剰な装飾も無く機能的 な感じで6人くらいで使える個室も2つあるので、ビジネスには使いやすいだろう。サービスも悪くない。

メニューは前菜/パスタ/主菜を、魚介系/肉系/ベジタリアンのグループから選ぶ仕組み。僕は、前菜にトリュフはあしらったオムレツ、牡蠣のパスタ(タリ アッテレだったかな?)、主菜は店の名物だというビステッカをいただいた。オムレツは僕にはチーズが効きすぎていた様で、もう少しあっさりした前菜で良 かったかも知れない。牡蠣のパスタは普通においしかった。で、注目すべきはやはり「ビステッカ」。ビステッカというのはイタリア語でビーフステーキの事ら しいけど、フィレンツェの名物「ビステッカ・アラ・フィオレンティーナ」が有名。アメリカで言えばTボーンステーキあたりになるらしいけど、味付けは主に 塩胡椒だけの野趣溢れるスタイルが基本らしい。フィレンツェでは地元のギアナ牛を使った物が有名だが、これは僕もフィレンツェでうまいのに巡り会えて未だ に覚えている。

この店のは見かけはとても洗練されていて、僕の知っているビステッカの面影は全く無いのだけれど、味付けは塩だけらしくシンプルにいける。ブロックのまま 炭火で焼いて、中は赤いまま切り分けてサーブされて来て見た目はレアに見えるけれど、キチンと火が通っていて、回りの香ばしさ加減とのコントラストが楽し い。緑色のソース(レシピを聞きそびれたが、コリアンダーと松の実をすり潰した様な感じ)と粗挽きの胡椒が添えてあったけど、何も付けずにそのままがおい しい。さすがに看板メニューだけの事はあると納得。欲を言えば、小さめのフィレステーキくらいのボリュームだったので、もう少し食べたいくらいだった。

フィレンツェでもうひとつ思い出すのは、ピチというパスタ。太さは讃岐うどんという感じで、やはりそこそこコシがあって、アマトリチャーナやラグーといっ たソースであえたのがおいしかった。2年前のイタリア旅行はアメリカから行ったが、戻っても探し回ったがそれらしいパスタに巡り会えなかった。強いて言え ば、ブカトーニが近い感じがしたけれど、ピチはもっとモチモチ感があった気がする。日本はさすがにグルメ大国で、ネットで調べたら東京にもピチを出す店が 何軒かあるらしいので近いうちに試してみたい。

2007年12月12日水曜日

ウィレム・デフォー (Willem Dafoe)

今週は、またシリコンヴァレーに来ている。

夕べホテルで観るとはなしに、テレビを観ていたら American Dreamz という映画をやっていた。ヒュー・グラントとデニス・クエイドはすぐ判ったが、クエイド演じる大統領の補佐官役のおじさんがどこかで見た様に思うのだけれ ど、結局最後まで判らなかった。エンディングのタイトル・クレジットでやっと判った。何と、ウィレム・デフォー (Willem Dafoe)。左の写真が、夕べの映画の役(右側)。右の写真を見れば判る人も多い筈。「プラトーン」で演じた孤高の軍曹役が出世作で、近年では「スパイ ダーマン」で「ジキルとハイド」ばりに変身してしまう科学者(空を飛び回る怪人)なんかで有名ですね。

日本では封切られなかった映画らしいけど、筋の紹介は目的じゃないのでこの辺りを参考にして下さい。でも、このデフォーは判らないね。頭が禿げ上がっているの はこの写真でも判るけど、体型も腹腰回りに肉を付けてすっかり別人。大体僕らの知っているデフォーは、エキセントリックな役が専らのコテコテの性格俳優で すからね。昔の俳優で言えば、クラウス・キンスキー(ナスターシャ・キンスキーのお父さん)にちょっと雰囲気が似てるかも。この映画はコメディだけど、いずれにしてもコメディに出るデフォーはあんまり想像出来なかった。

アメリカ映画もコメディは余り日本でやらない(いわゆる「ラブコ メ」は別だろうけど)。だからアメリカで相当有名なコメディ俳優が日本では余り知られなかったり、デフォーみたいにシリアスな役者がコメディ映画に出ても 知られていない。やっぱり、泣かせるより笑わせる方が難しいということか? あるいは笑いのタイプの問題もある。スラップスティックやパロ ディだと判りやすいけど、オリジナルの台詞で笑わせる物は内容が判っても、笑いのツボを感じ取るのは難しい。

なんて言ってデフォーを調べてたら、来月日本で封切りの「Mr ビーン」の新作に出るらしい。Mr ビーンなんてかなりドタバタものだろうけど、どんな役をやるのかしら? 見てみたい気もするが、多分行かないだろうな。

2007年12月5日水曜日

志ん朝で「富久」を聴く

今夜は底冷えがする。思わず、志ん朝の「富久」を聴く。

三題噺風に言えば、師走、火事、富くじ。アメリカに居る時にも良く聴いた。部屋を真っ暗にして聴いていると、通りに掛け出る幇間の久蔵が思わず 首をすくめる冬の冴えた寒空が目の前に広がる。志ん朝が死んで6年が経った。この口演は、1976年の録音だという。志ん朝38歳のときだ。今の僕より 10歳若い。良く通る明るい声音。明瞭な口跡と心地よいテンポ、リズム。ハツラツとしているけれど「未熟」という意味での若さはない。

自慢にはならないが、世に出ている志ん朝のCDは全て揃えていると思う。だが本当に恥ずかしいことだけれど、生では一度も聴いていない。これは本当に残念 なことだ。手元のCDに残る演目は全部で丁度60あった。全てライブ録音だが、どれも完成度は高い。円生の労作「円生百席」は完成度を意識して、全てスタジオ録 音にしたというが、志ん朝は60席を全てライブでものして、どれも優れた完成度を示している。そこに、ライブらしい客の反応も記録されていて楽しい。ちょ うど円生の録音をカラヤンに例えれば、志ん朝の残した録音にはカルロス・クライバー(彼もライブ録音しか残さなかった*注)の録音の様な爽快な趣きがある様に 思う。だから
、この珠を大事にするしかありませんね。

志の輔も昇太も面白い。でも落語を聴いてみたい、という人がいたら、まず志ん朝を勧めたいな。

*注:まじっくばすーん氏から「クライバーにはスタジオ録音もいろいろある」とのご指摘受けました。申し訳ありません。「ライブ録音が多い」という辺りでお願いします

2007年12月4日火曜日

ふぐを食す

この冬初めてのふぐを食す。

まともにふぐを食べた事がないという若い者が「麻布十番の『小やなぎ』がおいしいらしいですね」と来たので、そういうところはデートで連れて行って貰いなさい、と諭し、今回は今驚異的に増殖している「Gふぐ」のチェーン店を訪れる。

結果から言えば、コストパフォーマンスは決して悪くはない、と思う。女性2人を含む4人で、コース1人前づつは少し多いかなと思ったので、てっちりx3人前+雑炊4人前にてっさし、ぶつ切り、唐揚げ、焼きふぐを適宜ちりばめ、ワイン1本他飲み物少々で、1人頭6千円を少し上回る程度だから、まあ上出来じゃないかな。

てっちりは、IHヒーターに紙なべという趣向。これは食器洗いも大分省けるな、とコスト削減も頭に浮かぶけれど、火力(熱力か?)も十分で大したものです。

店によって趣きも少し違うという話も聴くが、今日行ったところは席が一番奥だったせいもあって落ち着けた。ワインは、ホリデイ・シーズンでもあるし、オーストラリア物のスパークリング・ワインというのを注文したら、「こちらの方がおいしいと思いますので」とイタリア物が出て来た。Supumoniですね。結構おいしく飲めました。

ということでM君、「小やなぎ」は別途報告して下さい。

2007年12月1日土曜日

Mel Torme

The Christmas Song の作詞者メル・トーメ(Mel Torme)は、ジャズ歌手だった。

村上春樹が The Portrait in Jazz にメル・トーメの事を書いていたのは覚えていたんだけれど、本が手元に無かったので(何しろまだ単身赴任寮の仮住居に居るので、本も家財もトランクルームの中)何と書いてあったかまでは良く覚えていなかった。「良いクラブ歌手」と言ってたかな?

それで昨日、会社の帰りに本屋に立寄ってその本を見つけて、読んでみた。正確には The Portrait in Jazz 2 の方にあった。

都会の片隅にある小粋でこぢんまりしたナイトクラブ、毛皮のコート、シャンパンとカクテル、それがメル・トーメの生きた世界だった。シナトラ的な、ラスヴェガスの大ホールのサウンドは彼の求めるところではなかった。そういうところが粋人の粋人たるゆえんなんだろうけど、ちょっと惜しいという気がしないではない。
こんな引用を正確に覚えられる訳も無く、この本を買ってしまったのでした。僕の持っていたのは文庫本。昨日見つけたのはハードカバー版。大きい紙幅なので絵の迫力がまるで違うんですよね。

昔し、十代の終わりの頃から和田誠の文・絵で映画を紹介した「お楽しみはこれからだ」のシリーズを夢中で読んでいた。あの本に導かれていろいろな映画を観ましたね。あのシリーズの挿絵は色のついていないイラストだったけど、単純な線を使って良くあんなにいろいろなニュアンスが出せるものだと感心した。個性的と言えば、あれだけ個性的な画風も無い。

The Portrait --- の絵は色付き。これも紛う事無き、和田誠の画風ですけどね。

という訳で、今日は朝からメル・トーメのクリスマスアルバム(彼のはそれしか持ってないので)を聴きながら「絵本」を眺めてます。